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『エピソード2:ベリーダンスな二択』第10話

バツイチ37(batsu-ichi thirty-seven)
『エピソード2:ベリーダンスな二択』
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには、いっさい関係ありません。

10

20分後。
ショーが終わってアヤちゃんが俺たちの席に合流した。
軽く自己紹介を終えるとワインを開け、一気に場のペースが上がる。
アヤちゃんの肉感的な身体がこまわり君のアイシテルのサインを見事にブロックしてくれて、俺もようやく自分を取り戻した。

それにしても見事なおっぱい。
ムンっとむせかえる女の匂い。
あーこの人とone to oneのダンスを踊る運命だったのかと実感する。
(ア・イ・シ・テ・ル)
俺は彼女をやさしく見つめ、まばたきする。
キョトンとした顔で俺を見つめ返すアヤちゃん。まばたきする俺。
(ア・イ・シ・テ・ル)
キミの胸に届くといいな、このオモイ、このキモチ。
もう気分は完全に恋人です、はい。
男なんて3秒あれば恋はできるのです。

「内田さん‥‥」
アヤちゃんが少し身体を寄せてくる。
「なんだい?アヤちゃん」
俺も彼女の肉圧を感じるようそっと身体を傾ける。
二人の間にもはや距離はない。周囲の喧騒も気にならない。
僕の瞳の中にはキミがいて、キミの瞳には僕がいる。
キミのかわいい唇が僕の瞳の中で動き始める。
「ちょっと言いにくいんですけど‥」
僕には何が言いたいかもうわかってるよ。
(ア・イ・シ・テ・ル)
キミのまばたきが僕に教えてくれた。
勇気を持って言ってごらん。

「内田さんの離婚の理由って何なんですか?よければ聞きたいな」
「えっ?」

ソノシツモン、ヨソウガイデス

「うんうん」
「私も聞きたいですぅ」
「俺も俺も」
その場にいる全員が異口同音に俺の気持ちを考えない相槌をうち、回答を促す。
明らかに興味本位の目が俺に集まる。
人の不幸は蜜の味。
人間なんてどこまでいってもそんなもんだ。
俺はその視線の痛みに耐え切れずに口を開いた。

「え、えっとですね‥性の不一致ってヤツですよ」

普通の人ならこれ以上突っ込んで理由を聞いてこない。
みんなは知っているだろうか?
昨今の離婚理由において性の不一致が上位にあがってきている事を。
その理由はきっとここにある。
誰にも触れられたくないからね、心の傷は。
いちいち自分の心に向き合うのは疲れるんだ。
キミ達もいい大人なんだからこれ以上は突っ込まないよね?

しかし、場はまたしても予想外に盛り上がった。
「ウッチーそれ俺初耳だわ」
「それってセックスレスってヤツです?」
「奥さんにTバック強要したんじゃないんですぅ?」

「いやー、まーいいじゃないですか‥」
Tバック強要したって‥‥

少し苛立ちを覚えた俺はポケットから煙草を取り出すと火をつけた。
たゆたう煙が目の前の現実を曖昧にぼかしていく。
それを見てアヤちゃんが再び身を乗り出した。
「また質問なんですけど‥」
一瞬の躊躇が風となって煙を流す。

「セックスが終わった後、真っ先に水を飲みます?タバコを吸います?」

それを聞いた俺は、乾いた喉に煙を思いっきり吸い込んだんだ。




つづく
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| 『episode2:ベリーダンスな二択』 | 17:24 | comments(0) | - | pookmark |

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