2008.05.01 Thursday
『エピソード2:ベリーダンスな二択』第7話
バツイチ37(batsu-ichi thirty-seven)
『エピソード2:ベリーダンスな二択』
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには、いっさい関係ありません。
7
俺達が店に戻ってほどなく店内が暗転し、情熱的なオリエンタルな曲にのって二人の女性が登場した。
一人は白人。もう一人は日本人。
ふたりとも肉体的なふくよかさが魅力的で、エキゾチックなメイクが輝く衣装にとても映えている。
俺は思わずトシちゃんの顔を見た。
トシちゃん、どっちなの?どっちがピーチ姫なの?
しかし俺のそんな視線に気付くはずもなくトシちゃんはダンスを見ている。
美紀が横を向いてる俺に気付き耳元で小声で囁く。
「内田さん、すごくいいですよ。ちゃんと見ないと」
ですよね。そんな下心丸出しじゃクリエイターとして恥ずかしいですものね。
俺は美紀に軽く頷くと視線を彼女達に戻した。
そうして少し醒めた目で踊りを見ていた俺だったが、やがて彼女達の動きに目が釘付けになっていた。
なんなんだ、この波動は。この心に伝わってくるビートは。
非常に女性的な曲線を描く彼女達の肢体が宙に舞うベールに見え隠れする。
腰と肩がそれぞれ別の円運動を描き、崩れそうになるバランスを回転した腹筋が支える。
カスタネットを打ち鳴らす腕が上下に柔らかく、時には激しく妖艶に動き、曲調が激しくなるにつれ、各部位の動きは更にその速度を増し,徐々に踊りはエロスから昇華していく。
そこにあるのは、踊り手の想い、思想。
そしてその背景にある彼女達の人生経験が俺の心に熱く響く。
ハートが震える。
素晴らしい。本当に素晴らしい。
ベリーダンスとはここまで素晴らしいものだったのか。
踊る二人の動きが共鳴するように高まって行く。
店にいる客の全てがそれに魅入っていた。
やがて二人の女性は同時にエクスタシーに達し、その動きを完全に止め、俺達はようやく彼女達の魔法から解かれた。
「いやーすごいね。ちょっと感動した」
俺の言葉にみんなが頷く。
彼女達がバックルームにはけた後でも、まだその余韻が店に残っていた。
「俺もアヤちゃんがプロになってから初めてショー見たんだけど、これはかなりすごいね」
そう言うとトシちゃんは興奮気味にビールを一気に喉に流し込んだ。
「トシちゃんの友達って日本人の方ですかー」
当たり前ですよね。アヤちゃんて名前の白人がいたら逆に会ってみたいですよね。
でもよかったです、日本人の方で。
だって、スーハースーハーオウイエーじゃ感じないじゃないですか。
「そそ。ウッチーもなんか感じるものあったんじゃない?」
「それは表現者としてですか?男としてですか?」
「男としてって‥」
美紀がぼそっと呟き、呆れた目線を送ってくる。
「いやいや、両方、両方。俺はウッチーとアヤちゃんお似合いだと思うんだ、色んな意味でね」
「表現者は表現者を知るって言いますしね」
すかさず小川Pがうまい相槌を打つ。
「そそ。ショーもう一回あるからさ、それ終わったら彼女紹介するから、まぁウッチーも考えておいてよ」
「りょうかいー」
トシちゃんが席をたってトイレに向かう。
俺は空になったコップを美紀の前に持っていくが、美紀は気付かない振りをして小川Pと話し込んでいる。
いいもん、いいもん。僕さみしくなんかないもん。
俺はしょうがなく手酌でビールを注ぐと、壁にかかっているムシャの画にそっと乾杯した。
人生、辛いこといっぱいあるけどさ、こんなイイコトもたまにはあるんだよね。
真面目に生きてれば神様は絶対見ててくれてる。
『三十路の恋はプラトニック』って決めてたけど、アヤちゃんだったらもう守れそうもないよ、神様。
うん、絶対無理。
たぶん3秒で無理。
いいですよね?もう僕の禊は済みましたよね?
そんな俺に美人画の中のビーナスが微笑み、囁く。
「お前はここまで孤独によく耐えてきたよ。もうそろそろ自分を自由にしてあげなさい。」
俺は感謝の言葉を唱え、ビーナスの鎖骨に軽くキスをした。
つづく
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『エピソード2:ベリーダンスな二択』
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには、いっさい関係ありません。
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俺達が店に戻ってほどなく店内が暗転し、情熱的なオリエンタルな曲にのって二人の女性が登場した。
一人は白人。もう一人は日本人。
ふたりとも肉体的なふくよかさが魅力的で、エキゾチックなメイクが輝く衣装にとても映えている。
俺は思わずトシちゃんの顔を見た。
トシちゃん、どっちなの?どっちがピーチ姫なの?
しかし俺のそんな視線に気付くはずもなくトシちゃんはダンスを見ている。
美紀が横を向いてる俺に気付き耳元で小声で囁く。
「内田さん、すごくいいですよ。ちゃんと見ないと」
ですよね。そんな下心丸出しじゃクリエイターとして恥ずかしいですものね。
俺は美紀に軽く頷くと視線を彼女達に戻した。
そうして少し醒めた目で踊りを見ていた俺だったが、やがて彼女達の動きに目が釘付けになっていた。
なんなんだ、この波動は。この心に伝わってくるビートは。
非常に女性的な曲線を描く彼女達の肢体が宙に舞うベールに見え隠れする。
腰と肩がそれぞれ別の円運動を描き、崩れそうになるバランスを回転した腹筋が支える。
カスタネットを打ち鳴らす腕が上下に柔らかく、時には激しく妖艶に動き、曲調が激しくなるにつれ、各部位の動きは更にその速度を増し,徐々に踊りはエロスから昇華していく。
そこにあるのは、踊り手の想い、思想。
そしてその背景にある彼女達の人生経験が俺の心に熱く響く。
ハートが震える。
素晴らしい。本当に素晴らしい。
ベリーダンスとはここまで素晴らしいものだったのか。
踊る二人の動きが共鳴するように高まって行く。
店にいる客の全てがそれに魅入っていた。
やがて二人の女性は同時にエクスタシーに達し、その動きを完全に止め、俺達はようやく彼女達の魔法から解かれた。
「いやーすごいね。ちょっと感動した」
俺の言葉にみんなが頷く。
彼女達がバックルームにはけた後でも、まだその余韻が店に残っていた。
「俺もアヤちゃんがプロになってから初めてショー見たんだけど、これはかなりすごいね」
そう言うとトシちゃんは興奮気味にビールを一気に喉に流し込んだ。
「トシちゃんの友達って日本人の方ですかー」
当たり前ですよね。アヤちゃんて名前の白人がいたら逆に会ってみたいですよね。
でもよかったです、日本人の方で。
だって、スーハースーハーオウイエーじゃ感じないじゃないですか。
「そそ。ウッチーもなんか感じるものあったんじゃない?」
「それは表現者としてですか?男としてですか?」
「男としてって‥」
美紀がぼそっと呟き、呆れた目線を送ってくる。
「いやいや、両方、両方。俺はウッチーとアヤちゃんお似合いだと思うんだ、色んな意味でね」
「表現者は表現者を知るって言いますしね」
すかさず小川Pがうまい相槌を打つ。
「そそ。ショーもう一回あるからさ、それ終わったら彼女紹介するから、まぁウッチーも考えておいてよ」
「りょうかいー」
トシちゃんが席をたってトイレに向かう。
俺は空になったコップを美紀の前に持っていくが、美紀は気付かない振りをして小川Pと話し込んでいる。
いいもん、いいもん。僕さみしくなんかないもん。
俺はしょうがなく手酌でビールを注ぐと、壁にかかっているムシャの画にそっと乾杯した。
人生、辛いこといっぱいあるけどさ、こんなイイコトもたまにはあるんだよね。
真面目に生きてれば神様は絶対見ててくれてる。
『三十路の恋はプラトニック』って決めてたけど、アヤちゃんだったらもう守れそうもないよ、神様。
うん、絶対無理。
たぶん3秒で無理。
いいですよね?もう僕の禊は済みましたよね?
そんな俺に美人画の中のビーナスが微笑み、囁く。
「お前はここまで孤独によく耐えてきたよ。もうそろそろ自分を自由にしてあげなさい。」
俺は感謝の言葉を唱え、ビーナスの鎖骨に軽くキスをした。
つづく
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JUGEMテーマ:恋愛小説
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クリちゃんペロペロしってきったよぉぉぉ!!!!
時間なくてハメハメできなかったけど、3万もらってウマウマ!!(゚∀゚)
ていうかコレ、ち○こ突っ込んだら、金額やばいことになるんじゃね?笑
http://9tpai8v.mik.blue-ski.info/9tpai8v/
- 2011/03/25 8:18 PM, from たくや
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