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『エピソード2:ベリーダンスな二択』第1話

バツイチ37(batsu-ichi thirty-seven)
『エピソード2:ベリーダンスな二択』
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには、いっさい関係ありません。



車窓から流れる景色を見ると
僕の記憶は時々鍵のかかった過去を彷徨う
もう鍵は捨てたはずなのに

君は僕をどこまで受け入れてくれるの?
君の愛情は本物かい?
もっともっと もっともっと
求めるものだけ膨らんでいき
いつのまにか、君を見失っていた事に気付く
そんな過去の事象の螺旋の中
窓際に立つ僕の目に映る君はもういない

そして
後悔もすこしはしてるよって
シナトラが隣でささやくんだ

--------------------------------------------------------------------------------

やーアミーゴ。元気だったかい?
俺の名前は内田直樹。通称「バツイチ37」と呼ばれるしがないCMディレクターだ。
そして今朝も「ゴミの分別が甘い」と注意されて衆人監視のもと袋を開け分別し直す作業をさせられた、ちょっとチャーミングな37歳。
で、俺がいま何をしてるかというと‥
とある時計メーカーへの自主プレ用ビジュアルコンテ(Vコン)を事務所のマックで編集中なのである。

ここ数年、CM業界じゃ
「画コンテだけじゃ出来上がりの想像がつかなーい」
「映像がないと上を説得できないからイヤイヤー」
なんて小学生みたいに駄々をこねるクライアント向けに30秒程度の簡易的なイメージ映像を作るのが半ば当たり前になっている。
画コンテに合う映像をツタヤで借りてきた映画やドラマ、海外のCFやPVのサンプルから探し出して組み合わせて構成していく感じ。
それにナレーションや音楽つけて一応CMっぽくするって訳。
もちろんこのご時世、かつてデフレの波に飲み込まれた広告業界も予算削減されたままなので、いわゆるサービスってやつだ。
そのサービスの中でも自主プレは更にキング・オブ・サービス。
プレをお買い上げして貰えなければ一切の金銭的報酬のない過酷な作業だ。
まーそんな楽しい仕事を広告代理店パサツーのトシちゃんが持ってきてくれたのである。

でもここだけの話、これが日本の映像業界のパクリマンセー傾向を助長してるのもまた事実。
「え?プレの時と違うじゃない」ってお得意に言われるの怖いからね。

まーそんな話は置いておいて現状を説明すると、パーテーションの向こうでは編集中の俺を放置してトシちゃんと美紀がヒソヒソ話し込んでいる。
編集作業の時ってある程度完成するまで演出家以外ひまなんです。
途中で口だしされると作業効率落ちるからね。
だから二人みたくだべるか、雑誌や漫画読むか、寝ちゃうかって感じの人が多い。

そして俺もちょっと編集に飽きてきたので一服しながらその会話に聞き耳を立てたんだ。
どうやら俺のことを話しているらしい。
「ウッチーはさ、きっと結婚恐怖症ってやつなんだよ」
「へぇ、そんなのあるんですかぁ」
「うんうん、俺も再婚したかみさんと出逢うまではそうだったから良くわかるんだよね」
トシちゃんとの付き合いは長い。もう「ウッチー」「トシちゃん」の関係になってかれこれ10年。
そして、しがない演出稼業の俺にこうやって細かい仕事でも持ってきてくれる大事な兄貴分だ。離婚経験の先達でもある。
それにしても結婚恐怖症って俺も初耳だな。
新手の鬱みたいなもん?

「わかりやすく言うと中山美穂と結婚する前のエコーズ時代の辻仁成って感じかな」
甲高い声で話を続けるトシちゃん。さすが自称天才コピーライターだけあって実にわかりやすい。
「ふむふむ」
理解不能だけどとりあえず相槌うっとっけって感じの美紀の声も漏れてくる。
そんなのお構いなしに語るトシちゃん。
「僕のナイーブなこのハートはいつも孤独っ、みたいなね」
「ふむふむ」
「僕を理解してくれる人はもうこの世にはいない的なね」
「ふむふむ」
「そんな感じなのよ」
「自分を悲劇のヒロイン化しちゃうんですねっ」
「そそ。だからレースクイーンパブなんかに通ってるわけよ。昔の俺みたく」
「なるほどぉ」
なるほどぉって‥坂本くん、全然納得してない感じがモロバレなんですが‥‥
でも、このトシちゃんの分析。全くの的外れじゃないんだよね。
元嫁がいなくなって3年、心にぽっかり開いた穴からずっと大事な何かが流れ出しててさ。
すくってもすくってもソレはこぼれ落ちちゃって、自分という存在が心の中でしぼんでいくんだな。
だから俺はその大事な何かを取り戻すために夜な夜な美鈴ちゃんの「シャイナ」に通ってるわけで‥‥

「でさ、美紀ちゃん、ちょっとこれ見て」
「‥‥」
「どう?」
「どうって言われてもぉ‥」
二人の会話が止まり、事務所の中の有線だけが耳にはいってくる。

え?二人でなに見てるの?気になって作業が止まってしまうんですが‥

「彼女、友達でプロのベリーダンサーなんだけどさ」
「‥‥」
「もうすぐ30なんだけど、まだ独身なんだよね」
お!もしかしてトシちゃん!
「でさ、誰かいい人いないですか?ってこないだ訊かれたんだけど」
「‥‥」
「ウッチーの好みじゃないかな?」
その配慮、お見事です!
兄貴、
毎度毎度ありがとうございます!
お金が払えない仕事でもきっちり報酬を用意するあたりが憎いね、トシちゃん。
つうか、そんな隠し玉まだもってたの?

「うーん、内田さんの好みじゃないと思うけどなぁ‥」
即答する美紀。
ちょっとちょっと、坂本くん!そこで勝手に判断しない!
人様のご厚意はまずありがたく受け取るのが筋ってもんですよ。

「でも、彼女巨乳よ」
「ですねぇ‥確かにセクシーではありますねぇ」

えええ!?
セクシー巨乳ダンサーですか!?
トシちゃん、マジそれ見たいんですけど‥‥いますぐ‥
つうか、もうokでも‥‥






つづく
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| 『episode2:ベリーダンスな二択』 | 11:45 | comments(1) | - | pookmark |

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エコーズねたに思わずニヤリw
2008/04/20 3:30 PM, from 人生










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