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『エピソード1:レースクイーンに花束を』第6話

バツイチ37(batsu-ichi thirty-seven)
『エピソード1:レースクイーンに花束を』
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには、いっさい関係ありません




絶対、美紀に見つかってはならない。
見つかったら最後、美鈴ちゃんとのアフターの夢は消えてなくなる。
俺はとりあえず花束を事務所に置いたまま、まずは美紀の様子を視認することにした。
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」
孫子の兵法はビジネスの現場でこそ活きるのである。
俺は足音を忍ばせて階段を降りると柱の影から外の様子を伺った。

4月初旬。桜はもう散ってしまったといってもまだ夜は肌寒い。
このオンボロ雑居ビルの玄関ロビーに自動ドアなんてあるはずもなく、冷たい夜風が容赦なく吹き込んでくる。
そんな中、美紀は壁にもたれて立っていた。
ボブレイヤーの髪が風で揺れている。
いつの間に降り出してたのか、雨が路地を叩く音が夜の静寂を一層際立たせる。
春の天気って本当に変わりやすいよね。
雨が降ると花粉がおさまって過ごしやすくなるからいいんだけどさ。

でもこうやってあらためて見ると美紀って美人だ。いや美人になった。
特にあの大きな瞳がいい。知性的な光がある。
マスカラのボリューム感とアイラインの具合も俺好みだ。
でも一番素敵なのは、その引き締まったタイトスカートの描くライン。
最高です。


正直‥‥そのお尻、触ってみたい‥‥


いやいや、触るなんて滅相もない。ただ指先でその弾力を確認するだけでいいんです。
つんつん程度でいいんです、神様。

「つついちゃえよ」って右手の悪魔くんが囁きます。
でも、そんなことをしたらセクハラですよ。痴漢行為ですよ。女子高生にお金巻き上げられますよ。
「いっそ揉んじゃえばいいんじゃね?」って左手の天使くんが囁きます。
ですよね。触るならむしろ堂々と触った方が男らしいってもんですよね、わかります。
そう、人はこうして痴漢になっていくんです‥‥たぶん
あ、俺は実際やったことないです。本当です。信じてください。
思考のトレースをする癖があるだけなんです。
ただ、どれくらいそのお尻のラインが素晴らしいか皆様に伝えたかっただけなのです。
でも難しいですよね。
「キスしてもいい?って訊いてくる男ってサイテー」という声も昔からあるし、
「しようって直接言ってくれた方がいいかもぉ」って女性読者の声も高校生の頃ポパイ恋愛マニュアルで読みました。
最近の若い男の子たちはどうしてるんだろ?
まーあまり興味ないですが‥‥

その時だ。ヒール音がコツーンっと響いた。
我に返る俺。
監視対象が動いたのだ。
ターゲットは、おもむろにヴィトンから携帯を出すとじっと見つめている。
そして俺にも静かな緊張が走る。
動くのか?ついに動くのか?

俺は息を殺し、そのままターゲットの監視を続ける。
もしかしたら立ち去るのかもしれない。
ターゲットがネガティブになった瞬間、間髪いれず俺は美鈴ちゃんの待つ「シャイナ」に突入する予定だ。
「CTUの援護は期待できない。フロッグ、気をつけて」
了解、クロエ―――

再び動き出すターゲット。
意を決したように携帯を開くと耳にあてる。
同時に玄関ロビーに聴きなれた切ないイントロが流れだす。

あれ?―――
これラピュタのテーマですよね―――

―――あの地平線 輝くのは どこかに君をかくしているから〜♪

つうか俺の着うたですよね―――

ゆっくり顔をこっちに向ける美紀。
目が合う。
俺が慌ててポケットから携帯を取り出すと、より一層メロディーがロビーに反響する。

―――父さんがくれたアツイオモイ〜母さんがくれたあのまなざし〜♪

俺は観念して両手を上げながら物陰からでた。
美紀の目が笑っている。
「フロッグ、聞こえる?フロッグ、応答して」
脳内クロエの悲鳴にも似た声も、もう俺には届かない。
やはりダンボールをかぶっていなかったのがまずかったのか‥‥
俺は心の中で滅びの呪文を唱えると携帯の通話ボタンを押したんだ。





つづく
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| 『episode1:レースクイーンに花束を』 | 13:05 | comments(0) | - | pookmark |

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