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『エピソード1:レースクイーンに花束を』第1話

バツイチ37(batsu-ichi thirty-seven)
『エピソード1:レースクイーンに花束を』
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには、いっさい関係ありません。

1

君と話す時 僕は少し元気になる
それは その一瞬の真実
別に虚勢をはってる訳でもない
ただ 少し 元気になるだけ

君の声が聴きたくて 僕は君に電話をかける
君の声が聴きたくて 僕は君からの電話を待つ

君と話す時 僕は少し元気なふりをする
それは 一瞬の自己暗示
君が去って行くのを感じるから
ただ 少しだけ 元気なふりをする

君の声が聴きたい。

--------------------------------------------------------------------------------

「もう内田さん、さっきからなにニヤついてるんですか?きもいんですけど、もぅ」

隣に座っている坂本美紀のこの一言で俺はハッと我に返った。
自分では無意識だったが、どうやら携帯のメールを見ながら俺はニヤニヤしていたらしい。
なぜかって?
それは最近お気に入りのレースクイーンパブの美鈴ちゃんからメールが来てたからだ。
男だったら多少は心が弾むってもんだろう。
俺は即座に携帯を閉じると威厳をもった表情を作る。
「いやいや、気のせいだって。今、俺仕事に熱中してるし」
「ふーん、まー別にどうでもいいんですけど早目にコンテアップお願いしますね」
「あいあい、あっ坂本さんコーヒーいいかな?」
適当に小言を流してデスクに向かってコンテ描きをするふりを始めた俺に呆れた顔を浮かべながら美紀は席をたった。
言い方はキツイがいい子じゃないか、坂本くん。
俺は遠ざかるヒールの音を耳で確認するとまたゆっくりと携帯を開けたんだ。

ほら、写メの美鈴ちゃんも俺を見て微笑んでるよ‥‥‥
あーそんなに胸の谷間を強調しちゃって‥‥‥

―――今日来てくれたらアフターokかも?(ハート

この最後の一文の深みといったら‥‥‥
この最後のハートマークの先に広がる夢と希望といったら‥‥‥
あんなこといいなっ♪出来たらいいなっ♪って知らず知らずに妄想の渦が広がるってもんだ。
見える。俺には見えるぞ。
推定Eカップのその谷間に指を差し込む俺の姿が見える。
紀信ばりに「いいよー、美鈴ちゃんいいよー」って言ってる姿が見える。
「内田さん、それ以上はお店じゃダメぇ‥」
ですよね。だからアフターがあるのですよね、わかります。

「へー、内田さんも巨乳好きなんですかぁ、ふぅーん」
気づくと美紀がコーヒー片手に俺の携帯を覗きこんでいる。
「そういえば内田さんの元奥さんも巨乳系でしたよね?」
でしたね。そういえばそうでしたね。
でもそこはあまり触れられたくない過去でして‥‥
っていうか、君、俺の元嫁見た事あったっけ?
つうか、俺のコーヒーは?

「男ってほんとわかってないよなぁ」
そうつぶやくと美紀は自分のデスクに座った。
わかってないのは君の方だよ、明智くん。
25歳なんてまだまだ若いからしょうがないが、おっぱいは男のロマン。Tバックこそ男の夢。レースクイーンは少年の永遠の憧れなのだよ。
偉い人にはそれがわからんのです。
つうか、俺のコーヒーは?

「は?‥‥コーヒーなら歩いて10歩圏内にありますが?ご自分でどうぞっ」

‥‥‥ですよね。

別に飲みたくもなかったが口に出した手前しょうがなくコーヒーをいれるべく俺は立ち上がった。
もちろん、ポケットにはいっぱいの夢をつめこんで‥‥

報告、連絡、相談。いわゆる「ホウレンソウ」は社会人の第一歩。
可及的速やかな対応が日々求められているのがジャパニーズビジネスマンなのである。
今回の案件も例外ではない。
迅速な応対をしなければアフター権利が他者に移行してしまう危険性がある。
常に競合他者の存在は忘れてはいけない。
俺は音を立てないように細心の注意を払って携帯を開いた。
慣れた手つきでメールフォルダーを開くとそこには美鈴ちゃんの笑顔と谷間が。
思わず口元が緩むがデスクの方から漏れてくる威圧感もこれまた油断ならない。
俺は女子高生ばりの指テクで携帯に文字を打ち込む。
5秒。

―――仕事の為22時頃伺います。アフター楽しみにしていますね。

送信。
ミッションコンプリート。
グッジョブ!俺!

そうそう、言い遅れたが俺の名前は内田直樹。
通称「バツイチ37」と呼ばれる、しがないCMディレクターだ。
座右の銘「神が人間に与えた最大の武器は想像力」を信じてここまで来ちまったちょっとチャーミングな37歳。
夢は愛のある家庭を築く事で、好きなタイプは細かく言うと「元気でひっぱってくれる人」か「静かで甘える人」が良いです。
でも結婚はもう結構です。





つづく
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| 『episode1:レースクイーンに花束を』 | 14:23 | comments(13) | - | pookmark |

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